バイリンガルを目指して子どもをプリスクールに通わせる保護者に知ってほしい「言語喪失 (Language Attrition)」について、お話しします。

 

子ども期は、語学の習得速度は早いのと同様に、喪失速度も早く、スピーキング・語彙→文法→発音の順に喪失します。

海外から日本に帰国した子どもや、海外から米国に移民した子どもなど、未就学児期に獲得した言語の保持状況を調べた幾つかの研究(Fujita et al., 2002) があります。

そこでは、8歳頃を境にして、それ以前に獲得した言語を使わない環境になった場合、喪失速度が速い、ということが分かっています。例えば親子で米国に移住した場合で、かつ子どもが幼児期に移住した場合、親は母語を保持する一方で英語はネイティブ並みになることは無いのです。一方で子はすっかり母語を忘れる代わりに、英語ネイティブになる、というケースが典型例です。

 

日本のプリスクール卒業生をこれに当てはめるならば、6-7歳時点では英語がよくできる子であったとしても、その後英語の使用頻度が下がることにより、英語力は日本語に押され、1-2年で急速に喪失に向かいます。我々はこの現象を、「小1英語の崖」と呼んでいます。

多くの日本のプリスクール生たちは、この小学校低学年での英語喪失の崖に見舞われている、もったいない状況にあると思います。幼児期は誰もが語学の天才と言えますが、忘却することの天才でもあり、せっかく習得した語学力も、継続しなければ徐々に弱ります。一度獲得したら忘れ難い運動技能とはまた違った忘却曲線をたどるのです。

お子さんの英語力を伸ばす際の理想は、小1から小5にかけてゆっくりと英語力を伸ばすことです。バイリンガルを目指すなら、プリスクールで終わらない継続と、さらなる向上の戦略が重要となるのです。

アフタースクール、サマースクール、英語教室、オンライン英会話などが選択肢としてありますが、まずはあまり難しく考えすぎず、Amazon PrimeやNetflixでの外国映画、ディスニー英語の読み聞かせなど、英語を身近に感じられる環境を作ってあげることが大切であるといえるでしょう。