AI翻訳の進化速度は不確実ですが、現時点でこれからやるべき英語学習について言えそうな結論を先に言いますと、以下の3点です。

  1. 中途半端な英語力は、もういらない!
  2. AI代替されやすい「読む・書く」学習以上に、「話す・聞く」学習が重要
  3. AIで代替されない英語での思考力、自国・異文化理解、人間的魅力を身につける

それぞれ解説します。

 

中途半端な英語力は、もういらない

相手が目の前にいないe メールを「書く」、ネット記事を「読む」、といったことは、ボタン一つの自動翻訳によってかなり快適に代替できてしまいそうです。

一方で、日本語でも敬語のニュアンスで伝わり方が異なるよう に、英語でもニュアンスが大事になる場面が多いです。ここは、場面によりどのようなニュアンスで伝えるべきか変わってきますの で、自動翻訳では中々代替されません。今から子どもたちが英語に取り組むのであれば、自動翻訳ですむ「中途半端な英語力はもういらない」、逆をいうと「ニュアンスが 分かるレベル」までやりましょう、ということになります。

 

⑵  「読む•書く」以上に、「話す•聞く」英語力を

外国人の仕事仲間・交渉相手・学友が目の前にいて、リアルタイムでコミュニケーションが必要な時に、自動翻訳機を使用するかしないかでは、相手の印象が大きく違うでしょう。世界中の多くの人は、すでに私たちが想像する以上に英語を学び英語を話すことができます。その時の皆さんの子どもたちの立場が「大企業の社長」だったり、「大臣」だったりすれば、通訳付きでも自動翻訳付きでも聞く耳を持ってくれるでしょう。それは今でもそうです。

でもそうではないケースが多い場合、Face-to-face のコミュニケーションで一人だけ自動翻訳機を使用することで、ビジネスで信頼関係が築けるか、友情が成立するか、疑問が残るところです。

だから、機械を介してではなく、自分自身の声と言葉で話す話す・聞く力は、とても大事です。そしてこの英語で「話す・聞く」力は、大人になればなるほど、習得が大変になることは、多くの保護者の皆さんの経験でも明らかでしょう。

さらに、新型コロナ以後、オンラインミーティングが格段にやりやすくなりました。従来は出張しなければなかなか実現しなかった生身の人間同士で意図を伝えるハードルが、格段に下がりました。

 

⑶     AI に代替されない英語での思考力、自国•異文化理解、人間的魅力

Face-to-face のコミュニケーションの時に、何より重要になるのは、英語力だけではありません。まずは思考力。英語メールは自動翻訳にお任せ!であったとして も、まず日本語で書くときに、論理的思考で書けていれば、自動翻訳された英語でも、相手に伝わるでしょう。思考力は、AI   に代替されません。

次に自国と異文化の理解。海外で暮らしたことや外国人と交流した人であれば実感があると思いますが、自分のルーツである自国に ついて知っていることは必須の教養でしょう。同様に、相手の文化を理解していることを示すことは、信頼関係を一気に強めます。これらは、自動翻訳機で代替できないものです。

異文化理解をどのように身につけるかですが、英語そのものの強 化のみに焦点をあてた教科書やスクールではなく、国際人を作ることを意識した英語教科書やスクールを選ぶ、ということで大分進めることができるでしょう。

 

最後に、人間的魅力:EQ(こころの知能指数)、SQ(社会性の知能指数)は、AIや自動翻訳では代替されません。自動翻訳による言語学習不要論は今後も出るでしょう。自動翻訳により、「自動翻訳で代替できる中途半端な英語力は不要」という 点では agreeです。しかし実社会では、AI  や自動翻訳では代替できない場面は数多くあります。

そんな現在と未来を生きる日本の子どもたちと日本にとって、数%でも良いので、複数の文化と言語をバックグラウンドとする  バイリンガル・マルチリンガルが生まれてほしい、と思っています。