前編では、“新プリ英語子育て4つの基本”で知っておきたいポイントを2つ、次のように挙げました。
1.英語好きにすることをまず重視する
2.大人の英語学習法をマネしない
後編では、残りの2つのポイントをご紹介します。
英語子育てで大事なポイント3
(3)英語に一定時間をしっかりかける
研究結果でも重要とされている点ですが、英語に触れる時間が英語の習熟度に大きく影響を与える、ということは明白の事実です。子どもをバイリンガルに育てようとする場合、週 1 回の英語、1 日 15 分のCD や読み聞かせは勿論、週 5 時間、という時間数でも足りないのです。
大人になった時点でバイリンガルとなる基礎としたい場合、英語環境時間を、妥協せずにしっかり確保することがまず重要と考えてください。質だけでは補えません。
また、子ども期の英語経験を踏まえ、中学か、高校か、大学か、どこかで、留学などにより「生活の中で集中して英語のみを浴び続ける経験」を踏ませることを長期戦略に入れてみてください。
インターナショナルスクールは一気にバイリンガルになる道ではありますが、インター以外のルートで行く場合は、あくまで「大人になったときに完全に道具として使えるレベルにしておく」と長期戦で考えましょう。子ども期に英語を好きになり、まずはしっかりとバイリンガルとなる基礎力をつけてください。次に、10 – 20 代に短期留学や海外留学のチャンスをものにし、この時点で英語を自由に使いこなせるようにしていく、ということを目標としてみてください。
一般的には英語圏居住の場合でも、子どもが日常会話を話すようになるのは 1か月、3か月のレベルではなく半年から1年程度はかかるものです。
まずは、目標とする言語修得時間を 2000 時間として、1 週間に 7 – 10 時間英語に触れる(すべて学習である必要はありません! 英語時間を楽しむことを心がけてください)4-6 年作戦を検討してください。
最後のポイント4。
(4) 理解できる内容の英語インプットと、豊富な英語アウトプット機会
「バイリンガル」とは、自分の人生のリーダーとなるための英語コミュニケーション力が目的で、英語の試験合格が目的ではないと思います。充分なインプットの機会があってこそ、応用力がつき、自在にコミュニケーションができるようになります。
ではどのような英語インプットがよいでしょうか。
英語のインプットで多くの人子どもたちがよく活用しているのが、英語 DVD です。子どもとメディア教育をめぐるいくつかの研究では、いわゆる知育DVDを子どもに見せても語彙学習効果は少なく、むしろ、大人が話しかけることや、読み聞かせが効果的であるとしていますが、子どもに良質な英語に触れさせる「量」を稼ぐ、そして「英語耳」を育むには充分有効であると思います。
ただし、リスニング力育成には効果的でも、適切なときに自発的に言葉として出るスピーキング力を養う手段としては不十分でしょう。このような観点から、子ども期に良質な英語時間を与えるベストな方法は何かと問われれば、これも身も蓋もありませんが、生身の外国人との英語時間をできるだけ作る、ということになります。だたし、費用がかかり、英語「教育」として行うのであれば、誰でも良いというわけではないことを念頭においておきましょう。
英語素材は、一人ひとり異なる子どもの興味と発達段階にあわせて選べるYouTube やNetflixがあります。5分程度でほぼあらゆる話題のお話があるイギリスの「Peppa Pig」、科学好きの子どもであれば「Magic School Bus」など、スクリーンタイムを気にしながらも、英語イマ―ジョンの環境は作ることができます。また、良質なインプットとしての英語の絵本も数多くありますが、選び方がなかなか難しいところです。
英語読書の話は、別の項で改めて書いてみたいと思います。
バイリンガルへの道=質x量x動機づけ
まとめると、子どもにバイリンガルレベルの語学力の修得をさせたいと考えるのであれば、大事なポイントは次の5つになります。
(1)できれば臨界期よりも前に、英語でコミュニケーションできる機会を与える
(2)質を重視する:好奇心と発達段階に合ったコンテンツを与える
(3)量を確保する:最低でも、年間 300~500時間程度は必要と考える(週7 – 10時間)
(4)動機づけ:英語嫌いになり息切れしないよう、楽しく続ける英語環境を作る(5)その上で、中学高校大学のどこかで、1~2年程度集中して留学する
一気にすべてを完璧にするのは難しいので、ぜひ、ひとつづつ、実践してみてください。
こちらの記事は以下の書籍を参考にして書いております。
著者:大前研一
共著者:宇野令一郎 株式会社Aoba-BBT常務執行役員
熊本大学大学院非常勤講師(教授システム学)
元アオバジャパン・インターナショナルスクール理事
元ムサシインターナショナルスクールトウキョウ理事長